個人事業主がお金を借りるための3つの方法|融資・借入先の特徴や選び方を紹介

個人事業主がお金を借りるための3つの方法|融資・借入先の特徴や選び方を紹介

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個人事業主が事業資金が不足したときの解決方法として、「お金を借りる」という選択肢も検討しなければならないときもあるでしょう。

個人事業主による借金には、事業資金の調達とともに、自分や家族の生活資金の調達の意味合いもあります。

会社など法人事業主の借金がもっぱら事業資金の調達であるのと対照的です。

この記事では、個人事業主にふさわしいお金を借りる方法について詳しく紹介していきます。

この記事を読んでわかること

  • 政府系融資は申し込みから融資の実行までに1~2ヶ月程度かかるが開業資金に最適
  • 信用金庫は審査が厳しく、地銀より金利も高いが開業後も運転資金の相談に乗ってくれる
  • 地方銀行は信用金庫ほど気軽に応じてもらえないが信用金庫より金利が安く、高額融資にも応じてくれる
  • 急ぎで資金を用立てしたい個人事業主は消費者金融ビジネスローン
  • 銀行ビジネスローンであれば消費者金融ビジネスローンより金利が低く大口の融資を受けられる

目次

個人事業主がお金を借りる方法は主に3種類ある

個人事業主

個人事業主がお金を借りるには、借入先・融資名を探さなければなりません。

個人事業主にお金を貸してくれる借入先・融資名として、主に次の3種類が考えられます。

  • 公的融資(国・地方自治体)
  • 銀行ビジネスローン(地方銀行・信用金庫)
  • 消費者金融ビジネスローン(消費者金融)

借入先・融資名の3つのメリット・デメリットについて、下の表にまとめてみました。

融資名 借入先 メリット デメリット
公的融資 国や地方自治体が母体 ・金利が低い
・開業資金に向いている
・申し込みから融資までに時間がかかる
・提出書類が多い
銀行ビジネスローン 地方銀行・信用金庫など
(都市銀行は法人貸付が中心)
・大口融資が受けられる可能性がある
・一般的に消費者金融ビジネスローンより金利が低い
・申し込みから融資までに時間がかかる
・提出書類が多い
・「ブラックリスト」に載った人は利用できない
消費者金融ビジネスローン 全国に大手・中小あわせてある、600余りの貸金業者(※) ・早く融資を受けられる
・運転資金に向いている
・一般的に銀行ビジネスローンより金利が高い
・「ブラックリスト」に載った人は利用できない

日本貸金業協会のWebサイトより 

公的融資とは?

国からお金を借りる公的融資制度について個人・企業別に紹介

公的融資とは、国や地方自治体といった公的組織が母体となって行う融資をいいます。

公的融資の場合、申し込みから融資を受けるまでに時間がかかることから、時間的に余裕がある個人事業主向けといえるでしょう。

銀行ビジネスローンとは?

三菱UFJ銀行と三井住友銀行の看板

銀行ビジネスローンとは、地方銀行や信用金庫などが行う事業資金の融資をいいます。

大口融資が可能な場合もありますので、高額な融資を必要とする個人事業主に適したローンといえます。

消費者金融ビジネスローンとは?

消費者金融を比較検討している男性の画像

消費者金融ビジネスローンとは、消費者金融会社が行う事業資金の融資です。

消費者金融ビジネスローンの場合、申し込みから融資までの時間が短いケースが多いので、素早い融資を求める個人事業主に向いているといえます。

個人事業主が国や地方自治体からお金を借りるには?低い金利で融資を受けたい人向け

ビジネスパソコン

ここからは、上記に挙げた3つの借入先・融資名について詳しく見ていきましょう。

借入金の入金まで比較的、時間の余裕がある個人事業主なら、公的融資がおすすめです。

公的融資には次の表のように、政府系の融資と、地方自治体系の融資(制度融資)の2種類があります。

公的融資 実施機関
政府系融資 日本政策金融公庫(略称「日本公庫」)
商工組合中央金庫(略称「商工中金」)
地方自治体系融資
(制度融資)
地方銀行または信用金庫

政府系金融機関は国の外郭団体

政府系融資を実施するのは、日本政策金融公庫(日本公庫)と商工組合中央金庫(商工中金)です。

日本公庫も商工中金も、国の外郭団体(国の組織には属さないが、国から資金などをもらって国の仕事を補う団体)です。

日本政策金融公庫(日本公庫)とは?

日本政策金融公庫(日本公庫)の特徴は、以下の表のとおりです。

正式名称 株式会社日本政策金融公庫
所管官庁 財務省
融資の特徴 金利が年2%前後と低い(令和4年3月1日現在)
・申し込みから融資までに1~2ヶ月程度はかかる
・直近2期分の申告決算書など多くの書類提出が必要
・申し込みは支店窓口のほかインターネットでも可能

※参照:日本政策金融公庫Webサイト「国民生活事業」

商工組合中央金庫(商工中金)とは?

商工組合中央金庫(商工中金)の特徴は、以下の表のとおりです。

正式名称 株式会社商工組合中央金庫
所管官庁 経産省、財務省、金融庁
融資の特徴 ・融資を受けるには商工中金株主団体の構成員になる必要がある
・金利が長期プライムレート年1.10%(令和4年2月10日より)、短期プライムレート年1.475%(令和4年1月16日より)と低い
・申し込みから融資までに1~2ヶ月程度はかかる
・直近3期分の申告決算書など多くの書類提出が必要
・申し込みは全国支店で可能

※参照:商工中金Webサイト「法人・個人事業主のお客さま 資金調達」


なお「プライムレート」とは、「最優遇金利」ともいわれ、信用力のある相手に適用される低めの貸出金利のことをいいます。

貸付期間が1年以上だと「長期プライムレート」、1年未満なら「短期プライムレート」と呼ばれます。

政府系融資のメリット

個人事業主開業届

以上の2つの政府系融資に共通するメリットとして、次の2つが挙げられます。

金利が安い

上の表にあるとおり、金利が年1~2%台と低い利率であることは、個人事業主にとって大きなメリットといえるでしょう。

開業資金に最適

政府系融資は開業資金に向いています。申し込みから融資を受けるまでの1~2ヶ月の間、まとまった額の開業の資金を待ってから事業をスタートすればよいからです。

一方で、政府系融資は運転資金には向いていません。運転資金はすでに動いている事業の資金調達であり、速やかな融資が必要だからです。

政府系融資のデメリット

一方で、政府系融資には、以下の2つのデメリットもあります。

申し込みから融資までに時間がかかる

いずれの政府系融資も、申し込みから融資の実行までに1~2ヶ月程度かかるとされています。

政府系金融機関としても、きちんとした返済が可能かどうか、金利を安くするにふさわしい個人事業主かどうかを、収入などをもとにしっかり見極める必要があるからです。

融資まで1~2ヶ月も待てない事情があるのであれば、速やかな融資をしてもらえる消費者金融ビジネスローンでつなぐ方法も検討する必要があります。

提出書類が多い

政府系融資を申し込む際には、決算申告書などたくさんの書類を提出しなければなりません。具体的な提出書類については各Webサイトを見るか、最寄りの支店で確かめましょう。

提出書類が多いのは大変ですが、書類をそろえるのに苦労した分、「審査が通れば、安い金利でお金が借りられる可能性がある」と前向きに取り組む姿勢が大切です。

制度融資の内容は地方自治体ごとに異なる

政府系融資と並ぶ公的融資に、地方自治体が母体となって行う「制度融資」があります。

地方自治体が母体となることから、融資の内容も自治体によって異なります。

例えば東京都の制度融資には、次の表に挙げる貸付資金があります。

運営者 東京都、信用保証協会、指定金融機関
融資の種類 ・政策課題対応資金(産業育成、働き方改革など)
・一般的な事業運営資金(小規模事業融資、一般事業融資)
・新たな事業展開資金(創業融資、販路開拓融資など)
・経営の安定化資金(経営安定融資、借換融資など)

※参照:東京都産業労働局Webサイト「東京都中小企業制度融資」

制度融資は信用金庫・地方銀行が取り扱う

お金

制度融資を運営する金融機関は、通常、信用金庫(信金)または地方銀行(地銀)が指定されます。

信金や地銀は地域に密着した金融機関であるため、各地方自治体の実状に適った運営を期待できるからです。

ただ、信金と地銀とでは、信金は非営利法人(トップは代表理事)で、地銀は株式会社(トップは代表取締役頭取)というように、金融機関としての性格も違うことから、どちらを選ぶかによってメリットとデメリットがあります。

信金と地銀のそれぞれについて、制度融資を受ける際のメリットとデメリットを見ておきましょう。

信用金庫から制度融資を受けるメリット

個人事業主が信金から制度融資を受けるメリットは、次の2点です。

  • 融資の申し込みに対し、親身に対応してくれる
  • 開業後も運転資金の相談に乗ってくれる

いずれも、信金が地域貢献をめざす非営利の金融機関で、中小企業や個人事業主を主な融資先とすることによるものです。

信用金庫から制度融資を受けるデメリット

個人事業主の信金からの制度融資には、2つのデメリットもあります。

  • 審査が厳しく、地銀より金利も高い(地銀のように株主からの投資がなく、預金だけで運営を行っているため)
  • 地元の信金しか利用できない(営業エリア内の在住者だけを顧客とするため)

地方銀行から制度融資を受けるメリット

個人事業主が地銀から制度融資を受けるメリットとして、次の2点が挙げられます。

  • 信金より金利が安い
  • 高額(大口)融資にも応じてくれる

いずれのメリットも、預金のほかに株主からの投資も地銀の運営の財源となっているから可能なのです。

地方銀行から制度融資を受けるデメリット

地銀からの制度融資では、融資の相談に対し、信金ほど気軽に応じてもらえないデメリットがあります。

その理由として、次の2点が挙げられます。

  • 地銀は、信金のように地域貢献をめざすのでなく、株主への配当という営利を目的とする金融機関であること
  • 地銀は、信金のように営業エリアが限定されず、大企業など全国の企業も融資先となること

制度融資では「借入手数料」も比較してみる

制度融資では金利のほかに、借入手数料にも注目しましょう。

借入手数料とは、金融機関が融資の手続きを行う手間に対して支払うお金のことです。「融資手数料」「融資事務手数料」などとも呼ばれます。

借入手数料には、借入額に関係なく金額が決まる「定額型」と、借入額の何%という割合で決まる「定率型」とがあります。

低金利で融資を受けられたとしても、借入手数料が高額だと、返済総額が高くなるケースも考えられます。

制度融資の借入先を決める際は、金利と借入手数料の総額を試算してみることが大切です。

大口融資を希望している個人事業主なら銀行ビジネスローン

大口(高額)の融資を希望するのであれば、民間銀行のビジネスローン(銀行ビジネスローン)での借り入れも検討してみましょう。

ここでは、銀行ビジネスローンの特徴とメリット・デメリットについて解説します。

ビジネスローンとは事業性資金を借りられるローン

銀行ビジネスローンとは、銀行による事業性資金の貸し付けを目的とするローンをいいます。

申し込めるのは法人または個人の事業主だけで、使い道は開業・設備投資・事業運転・支払いなどです。

なお、都市銀行のビジネスローンは主に法人事業者向けであるため、個人事業主の場合は、地元の地方銀行のビジネスローンを利用することになります。

参考までに、日本の4大メガバンクのビジネスローンの内容を比較してみました。

銀行名 金利(年利率) 融資限度額 申し込みから融資までの期間
みずほ銀行
「みずほスマートビジネスローン」
1.0~14.0%台 10万~1,000万円 最短2営業日
三井住友銀行
「ビジネスセレクトローン」
2.125%~(変動金利の場合。固定金利もあり) 1億円まで 「ニーズに即応するスピード回答」
三菱UFJ銀行
「Biz LENDING」
15%未満 50万~1,000万円 最短2営業日
りそな銀行
「Speed on!(スピードオン)」
1.0~9.0%(変動金利) 100万~1,000万円 最短3営業日

通常のカードローンでは事業資金を借りられない

銀行がビジネスローンを設けているのは、通常のカードローンでは事業資金を借りられないからです。

通常のカードローンは、ビジネス・住宅・自動車・教育など特別なものを除く、個人の日常生活に必要な資金の調達を図るものです。

事業と個人の日常生活とでは、必要とする目的や金額が異なるだけでなく、金利も変わってきます。これが、銀行が通常のカードローンとは別にビジネスローンを設けた理由なのです。

銀行ビジネスローンのメリット

個人事業主が銀行ビジネスローンを利用するメリットは、次の2点にあります。

大口(高額)融資が可能な場合も

銀行ビジネスローンだと大口(高額)の融資を受けられる可能性があります。

事業の開始や継続には、日常生活よりも高額のお金が必要になります。ビジネスローンが大口融資を可能としたのは、こうしたニーズに応えたものといえるでしょう。

一般的に消費者金融ビジネスローンより金利が低い

銀行ビジネスローンは、消費者金融ビジネスローンより金利が低いのが一般的です。

金利が低い分、消費者金融ビジネスローンよりも銀行ビジネスローンのほうが返済総額が少なくて済みます。

銀行ビジネスローンのデメリット

貸借対照表

一方、銀行ビジネスローンには次の2点のデメリットもあります。

提出書類が多く、融資までに時間がかかる

銀行ビジネスローンを申し込むには多くの書類を提出しなければならず、しかも融資までに時間がかかるのが普通です。

例えば、三井住友銀行のビジネスローン「ビジネスセレクトローン」を申し込むには、次の書類が必要とされています。

  • 最新の税務申告書(原本3期分)
  • 最新決算期の納税証明書(法人税・消費税)
  • 履歴事項全部証明書(登記がコンピュータ化される前の名は「商業登記簿謄本」。発行後3ヶ月以内のもの)

さらに「実際のお借り入れに際しては、別途必要な書類がございます。」との記載もあります。

「別途必要な書類」とは、開業の事業計画書、過去3年分ほどの収支内訳書などが挙げられます。

特に事業計画書の作成には時間がかかるといわれています。

以上の書類をそろえて申し込みをしても、融資の実行まで最低でも1ヶ月程度かかるのが一般的なのです。

「ブラックリスト」に載った人は借りられない

銀行ビジネスローンを申し込んでも、「ブラックリスト」に載っていると融資してもらえません。

「ブラックリストに載る」というのは、金融機関・消費者金融・クレジット会社が加盟する「信用情報機関」に登録された、自分の申し込み・契約・利用に関する「信用情報」の中に「事故情報(返済が滞っている、自己破産したなど)」が登録されてしまうことです。

なお、具体的に「ブラックリスト」という名前のリストがあるわけではありません。

ブラックリストに載せられてしまうと、「債務の返済について信用できない人」として、金融機関から融資してもらえないことになるわけです。

融資のスピードを重視している個人事業主なら消費者金融ビジネスローン

消費者金融の看板

もうひとつ、個人事業主向けの事業資金として借入先として考えられるのが、消費者金融のビジネスローンです。

消費者金融とは、消費者、つまり個人に対して金銭の貸付を行う貸金業を営む会社をいいます。貸金業法では、消費者金融はクレジットカード会社などとともに、貸金業者の一つとして位置づけられています。

ここからは消費者金融ビジネスローンのメリットとデメリット、および利用の際のチェックポイントを見ていきましょう。

消費者金融ビジネスローンのメリット

消費者金融ビジネスローンのメリットは、次の3つです。

融資の実行が早い

消費者金融ビジネスローンの一番のメリットは、速やかな融資を受けられることです。

消費者金融によっては、最短で申込当日に借り入れを受けられる場合もあります。

急ぎで資金を用立てしたい個人事業主にとってはありがたいローンといえるでしょう。

運転資金向きである

速やかな融資を受けられる消費者金融ビジネスローンは、事業途中で運転資金が足りなくなったときに向いているローンといえます。

銀行ビジネスローンのように融資まで1~2ヶ月程度もかかるのでは、運転資金の補てんに間に合わなくなる可能性が高まるからです。

消費者金融ビジネスローンのデメリット

一見便利そうな消費者金融ビジネスローンですが、次のようなデメリットがあることも知っておきましょう。

一般的に銀行ビジネスローンより金利が高い

消費者金融ビジネスローンの金利は銀行ビジネスローンより高いのが一般的です。

なお、消費者金融ビジネスローンの中には連帯保証人が必要なローンがありますが、連帯保証人が不要なローンもあります。

連帯保証人が不要なビジネスローンについては、その分金利がさらに高くなる場合もあるので注意が必要です。

「ブラックリスト」に載った人は借りられない

先ほど述べたように、銀行ビジネスローンの場合と理由は同じですが、「ブラックリスト」に載せられた人が消費者金融ビジネスローンを申し込んでも、融資は受けられません。

ビジネスローンは大手の消費者金融を選ぼう

消費者金融ビジネスローンを利用するなら、大手の消費者金融会社に申し込むのがよいでしょう。

大手の消費者金融会社だと、金利や今後の返済などの面で、法律に則った常識的な顧客対応を期待できるからです。

大手消費者金融会社の中でも、融資の実績が豊富な3社について、ビジネスローンの金利や融資限度額、融資までの時間を以下にまとめてみましたので、ご参考にご覧ください。

金利
(実質年率)
融資限度額 融資までの期間
プロミス
自営者カードローン
6.3%~17.8% 300万円 最短申込当日
アコム「ビジネスサポートカードローン 12.0%~18.0%
(融資額100万円以上の場合は12.0%~15.0%)
300万円 最短申込当日
アイフル
無担保ローン個人プラン/法人プラン
3.0%~18.0% 500万円 最短申込当日

個人事業主がお金を借りるのは事業と生活のため

主婦 掃除

個人事業主がお金を借りるのは、事業資金とともに生活資金も調達するためです。

個人事業主とは個人で事業を営み取引する人

そもそも個人事業主とは、会社などの法人と異なり、事業主個人の名で事業を営み取引する人のことをいいます。

例えば、身近な個人事業主としては「A商店」「Bクリーニング店」「C理容室」など、より専門的な個人事業主としては「E医院・クリニック」「F法律事務所」「G不動産」などが挙げられます。

以上の個人事業主に対し、「株式会社G」などの名で事業を営み取引するのが、会社などの法人事業主です。

個人事業主がお金を借りるのはどんなとき?

個人事業主がお金を借りるケースとして、次の3つを考えることができます。

  • 開業資金にする
  • 運転資金を補う
  • 生活費を補う

1つずつ解説していきましょう。

開業資金にする

個人事業主は、開業資金としてお金を借りることがあります。

開業資金とは、新たに個人事業を始めるために、「事務所を借りる」「業務車両を買う」「事務用品を整える」といった場合に要するお金です。

開業資金を自分の財産で賄えないとき、お金を借りなくてはなりません。

運転資金を補う

個人事業の開業後、運転資金を補うためにお金を借りなくてはならないことがあります。

運転資金とは、材料や商品の仕入れ代、従業員への給与、広告費用など、事業を続けていくのに必要なお金のことです。

事業の途中で運転資金が足りなくなれば、それを補わないと事業は続けられず、倒産という結果をも招きかねません。

運転資金を補うため、お金を借りることが欠かせなくなるわけです。

生活費を補う

食費 お金

個人事業主の場合、自分や家族の生活費を補うためにお金を借りることがあります。

個人事業による収益の使い道は、事業資金とともに、個人事業主の一家の生活費にも宛てられます。

ひとつ注意したいのは、生活費を補うために銀行や消費者金融のビジネスローンを申し込めないということです。もし生活費だけを補いたいのであれば、銀行や消費者金融のカードローンを申し込むことになります。

コロナ禍で個人事業主の借入需要が増加

注目されるのは、2020年初頭以降、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により、個人事業主の借入需要が増えていることです。

新型コロナウイルスへの感染を避けるため、人が集まって仕事をすることが難しくなり、企業の活動が鈍りました。

特に、飲食業など生活娯楽関連事業の活動低下と収益の激減が目立っています。

生活娯楽関連の事業を営む個人事業主も、コロナ禍による減収により賄いきれなくなった事業資金や生活費を調達するための借入が増えているわけです。

参考:経済産業省Webサイト「新型コロナウイルスの影響を最も受けた生活娯楽関連サービスとは」

個人事業主が借り入れを申し込む際の注意点は?

法人印鑑

これまで個人事業主における事業資金の借り入れについて解説してきましたが、実際に借り入れを申し込む際、どんな点に気をつければよいのでしょうか?

個人事業主が借り入れの申し込みをする際の注意点を2つ挙げておきます。

借り入れの目的が事業性資金であることを明確に伝えよう

融資を申し込む際、事業性資金のために使うことを担当者に明確に伝えましょう。

公的融資であれ民間融資であれ、借り入れの目的が事業資金かそうでないかによって、融資の種類が違ってくるからです。

その点をあいまいにして申し込みをすると、自分は事業資金の申し込みのつもりだったのに、融資担当者は生活資金の申し込みと受け取っていて、手続きをやり直すことにもなりかねません。

融資申し込みの際に、事業資金の融資であることを担当者にはっきりと伝えることが大切です。

ヤミ金には絶対手を出さない

借りてはいけない違法業者

公的融資も民間融資も断られて、借入先が見つからなかったとしても、ヤミ金にだけは絶対に手を出してはいけません。

ヤミ金とは、「闇金融」の略で、貸金業法で義務づけられている行政の登録を受けずに貸金業を営む違法な事業者です。

法律で定められた上限をはるかに超える金利での貸し付け、電話や押し掛けによる執拗な取り立てといった、法律やモラルに反する行為を行います。

こうしたブラック貸主の典型ともいえるヤミ金からお金を借りることだけは絶対にやめましょう。

この記事のまとめ

個人事業主は、法律に基づく厳格な運営がされている法人事業主と比較して、事業資金の調達の面において厳しい立場に置かれています。

ただ、個人事業主は、法人事業主のような組織を持たない分、自由で独創的な事業を展開することができ、事業の多様性に貢献できる存在といえます。

これまで紹介してきた個人事業主が利用できる融資制度をフル活用して、事業資金を調達して、個人事業主ならではの社会貢献をしていただければと思います。

監修者 監修者

古畑 元樹

行政書士有資格者

古畑 元樹

大学法学部を卒業後、裁判所に入職。裁判所書記官として、民事系事件を担当。裁判所退職後、行政書士試験に合格し、有資格者となる。 現在は「法令を根拠とした仕事」をモットーにケアマネジャーの業務に当たる一方、Webライターとして民事系の法律問題をテーマとする記事を執筆している。 法律記事の執筆では、条文と判例に重きを置いて内容の正確さを期すとともに、やわらかくわかりやすい表現を用いることで、ユーザーにとって読みやすく役に立つ記事になることを心がけている。
【保有資格】
行政書士日本語検定準1級介護支援専門員(ケアマネージャー)介護福祉士